金沢の「箱キリコと板キリコ」独特な風習の由来や意味とは!?
石川県の中でも独特の文化が残る「金沢のお盆」。
金沢は一般的なお盆とその時期が異なるだけではありません。お墓参りの時に「キリコ」という灯ろうを持参してお参りに行くのも金沢唯一の全国的に珍しい風習です。
また、近年では伝統的な「箱キリコ」だけでなく新しいタイプの「板キリコ」に「風鈴キリコ」などがあります。
こちらの記事では、お経を唱える幻想的な「送り火」が行われているお寺に実際に足を運んだ感想も合わせてご紹介します。
金沢市のお盆の時期はいつ?
そもそもお盆とは?
そもそも、お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。
「裏」・・じゃないんですね。 甘エビちゃん
「お中元」の由来ともなった中国発祥の行事ですが、今では祖先の霊を呼び寄せて供養する目的として日本全国で行われています。
通常、その期間は夏の4日間です。
4日間の流れとしては、初日を盆の入りを「迎え火」とし、精霊棚(しょうりょうだな。盆棚とも)にお供えをし、火を焚いて祖霊を迎え入れた後、3日以内にお墓参りをします。
そして、最終日の「送り火(盆明け)」に棚経(たなぎょう)と言って僧侶にお経をあげてもらい、最後にまた火を焚いて祖霊を送り返します。
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私はこれまで、お墓参りとお墓のお掃除をして、せっかくなので家族で外食をする。というのが恒例の過ごし方だったのですが皆さんはいかがでしょうか?
今更なんですが、金沢のお盆が「全国とちょっと違う」事に気づき、金沢のお盆やキリコについて特有の文化や風習を調べてみる事にしました。まずは、金沢のお盆の時期からみていきます。
地域によって異なるお盆の時期
初めは旧暦(太陰暦)の7月15日「中元節(ちゅうげんせつ)」に行われていましたが、明治時代に新暦が採用されるに伴い「お盆」の期間(の中心)は地域によって分かれていきました。
全国的には「旧盆」と呼ばれる8月15日が(旧暦の7月15日という事で)主流となっていますが、東京をはじめ、函館、横浜、静岡、金沢市などを含む一部の旧市街では新暦の7月15日を「新盆」としてをお盆をむかえる風習があります。
実は同じ県内でも「新盆(7月)派」は金沢市のみで加賀や能登など家庭によって石川県のほとんどの地域は「旧盆(8月)派」なのです。
金沢市のお盆の時期
7月13日[お盆に入り]〜
7月16日[お盆明け(最終日)]
金沢のお盆休みはいつ?
だからといって、金沢の学校や職場では7月のこの期間に必ず「お盆休み」を取る訳では無く(職場によってはお盆休みとっても良いよ。と言われますが)一般的なお盆休みと同じ8月13〜16日がお盆休みとなっています。
7月15日は金沢市内でイベントも多い反面、家族で運営しているような小規模な飲食店等はお休みしている事もあるので、お目当てのお店がある人は要注意です。
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ところで金沢特有の文化は「お盆の時期」だけではありません。
お盆が近づくとお参りの時に持って行ってお墓のロープに吊るす「キリコ」が市内のスーパーなどで見られるようになります。
近年では色々な形やデザインがある「キリコ」についてその意味や由来などを見て行きましょう!
金沢のお盆で使う「キリコ」とは?
7月に入ると金沢市内のスーパーや薬局等の店頭にずらっと並ぶ「キリコ」達。
金沢市とその周辺一部の地域では、お盆に墓参りをするときに「キリコ」と呼ばれる木と紙でできた箱のようなものを持参し、中にろうそくを立てて墓の前につるす風習があります。
これが、当たり前だと思っていたのですが・・・どうやら、金沢独特の風習の様なのです。
5年程前から「板キリコ」という板状のキリコもで回っており、こちらはお値段が安い事や雨に濡れる心配が無くコンパクトなので人気です。
また、お子様供養の「花キリコ」というものもあるのですが、
近年では「風鈴キリコ」という可愛らしいものまで出て来ました 😯
キリコの意味や由来は?
さて、色々なタイプのキリコがある事がおわかりになったかと思いますが、その由来や意味はというとー
先祖の迎え火を保護するために使われるようになったともいわれていますが、キリコの由来に明確な説はないようです。
由来は謎に包まれていますが、キリコには大事な役目があります。
それは最終日に行われる「送り火」です。
金沢市内の東山界隈にある日蓮宗のお寺ではお施餓鬼法要が終わったあと、墓地のキリコすべてに蝋燭の灯を点し、鉢と銅鑼を鳴らしながら読経・行道し、精霊を送りというものをします。
いわゆる「万燈会」と同じ趣旨のものになります。
実は賛否両論のキリコ
旧来の「箱キリコ」はくぎを分別するために廃棄にコストがかかる上に、火事の恐れもあるという事でやむをえず「キリコ禁止令」が出された頃がありました。
それでも金沢のキリコの風習を無くすまいとお箸のメーカー中本製箸の中本会長によって開発されたのが「板キリコ」なのです。
板キリコは先にも述べたように「コンパクトで持ち運びやすい」、「雨に強い」、「安い」などの理由で支持する人が多くある反面「灯明が上げられないので意味が無い」、「昔ながらのやり方は変えられない」という意見もあります。
ちなみに、箱状・板状どちらのキリコにも「持参した人の名前」を記入するのですが、誰が墓参りに来たのかが分かるようになっているので、キリコを見れば『誰それが墓参に来てくれた』と分かり、温かい気持ちになることもあれば、「あ〜、今年はあの人が先に来とる!」とか、「まだ来とらん。」と、煩わしく思ってしまう事も・・・。
いずれにせよ、本来の灯りを灯せるキリコの送り火の風景は暗闇の中にキリコに点された淡い光が幻想的な雰囲気を醸しだし、なかなか風情があるとの事で(実は宗派が違うのですが^^; )今年は見に行ってみることにしました。
金沢の風情あるお盆の風習「送り火」とは?
どこで送り火が見られるの?
色々と調べてみた所、金沢市の東山にある日蓮宗のお寺さんのほとんどは7月16日のお盆の最終日に送り火を行っている様です。
その中で何となく、最初に問い合わせた「金澤山 妙應寺(みょうおうじ)」さんの送り火に伺ってみることにしました。
開始時間の19:30のほぼ同時刻に到着。
お寺の入り口に近づくとどこからとも無く太鼓の音が聞こえてきました。
一日中雨天の日だったので、催行されるのかが気になりましたがよほど強風にならなければ催行されるとの事で幸い、この時間だけピタリと雨も止んでいました。
どの位、灯りはついているのですかと住職さんに質問すると
「灯りは30分程続けば・・・お経は10分程です。」との事でした。ま、間に合って良かった!
1人で夜中にお墓を歩くのは勿論、怖くて無理ですが・・・
こんな風にキリコの灯りが至る所に輝き、銅鑼(ドラ)や鉢の音に合わせたお経の声と檀家さんの行列が見られるとむしろ幻想的でちょっとしたお祭りを見ているかの様な気分になりました。
本殿には立派な大キリコが灯りを灯しており、これもまた見て、得したような気分にさせて頂きました。
お経が読み終わった頃にまた、雨が降り始めたので、急ぎ足で帰る事にしました。
金澤山 妙應寺(みょうおうじ)基本情報
[住 所]〒920-0831 石川県金沢市東山2丁目14番59号
[TEL]076-252-3620
[アクセス]森山のバス停から徒歩3分。加賀料亭旅館「秋月」向かえの細道を入ってすぐの所
[駐車場]この界隈は道がとても狭いので近くのコインパーキングに停める
♦送り火の開催日時:毎年7月16日 19:30〜 ( 約30分程 / お経が聞けるのは 約10分)
金沢弁で最後に一言・・・
今更ながら、初めて見た金沢ならではのお盆の風習「送り火」は風情があってかなり見る価値アリやったよ〜! 年に一度の金沢の灯籠流しのイベントも大人気で素敵やけど、もの凄い人やから、灯ろうの幽玄な風情を静かに楽しむならお盆の送り火はかなり穴場イベントやと思ったわ!まだ見た事無い人は是非、見てみてね! これからも「箱キリコ」の文化が続いていくといいね〜。 SATTY
*見学も写真撮影も許可を頂いています。
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